映画評論『スクリーンに息づく愛しき人びと』


映画評論『スクリーンに息づく愛しき人びと』

2015年9月以来、国公労連の情報誌『KOKKO』(堀之内出版)に連載している映画評論を刊行半年を後に再録するもの。内容としては、まず、最近に感銘を受けた作品について語る。次に、これと比較しながら、テーマの共通する過去の名作をふりかえる。そんな叙述に溶かして、映画というもののもつ社会的、歴史的、思想的な意義、つまり今を生きる私たちになにをよびかけているかを、簡単にではあれ、述べてゆく――およそそんな執筆方針である。労働研究者の私が選ぶ作品はどちらかといえば「社会派」の作品が多いかもしれないが、そこにあまりこだわらない。映画は「社会勉強」のため見るものではない。映画の魅力は、社会に関する知識涵養というよりは、なによりもそこに活写される人びとの苦しみや歓びへの共感であり、満ちてくる人間というものへの愛着にある。また、これはよくある「新作紹介」ではなく、映画に対する私なりの愛執を綴るものであるゆえ、感銘がそこに凝縮されるラストシーンの語りはやはり避けがたい。 いわゆるネタバレになることも多いことは許されたい。1ヶ月または隔月ごとに更新。

その1 階級連帯の内と外──『パレ-ドへようこそ』、『ブラス!』、
『リトル・ダンサー』ほか
(2015年9月)
その2 「日本1945年8月」──『この国の空』、『日本のいちばん長い日』
(2015年10月)
その3 引き裂かれた妻と夫の再会──『妻への家路』『かくも長き不在』
『心の旅路』
(2015年11月)
その4 狂っているのはどちらか──『天空の蜂』『生きものの記録』
(2015年12月)
その5  『明日へ』の『外泊』──韓国の非正規女性労働者(2016年2月)
その6  『母と暮らせば』のものたりなさ──山田洋次が見失ったもの
(2016年4月)
その7『わたしを離さないで』──限られた生の証をいとおしむ(2016年6月)
その8『64 ロクヨン』の厚みと熱さ(2016年8月)
その9〈労働〉のリアルをみる憂鬱――『ティエリー・トグルドーの憂鬱』&『ナビゲーター』(2016年10月)

■初出掲載誌:KOKKO