2012年5月のフランス東南部の訪問は、私たちの長年の海外旅行史のなかでもとりわけ忘れがたい旅だった。中世以来の数々の古都の美しさ。ひとびとが何百年も大切にしてきたロマネスク期の簡素で堅固な教会建築やグロテスクな奇想のおもしろさのあふれる柱頭彫刻。ゴシック期の壮麗な大聖堂、タンパンや外装彫刻のりアルな精密さ、その色彩のくみあわせに目を奪われるステンドグラス。すべての造型には物語があった。この旅行は、絢爛たる達成をとげたカトリック美術の連日の饗宴であった。
2010年代の写真を再現するHP欄「旅のアルバム・2010年代特別編」も、東方教会のブルガリア/ルーマニア、古代文明を経て今はイスラム世界のシリア・ヨルダン、仏教のミャンマーについでこれが四番目になるが、今回のカトリック大国フランスについては、写真の選択・限定に苦しんだあげく、思い切って70枚ほども上掲することにした。大方の関心に応えるものではないかもしれないと案じるけれど、私と同様、「神はなくとも信仰は美しい」、「信仰が力をつくして生み出したものは美しい」とは感じはしないだろうか。
ちなみに海外旅行の写真を、見て!見て!という感じで公表する機会は、今日、86歳になる私にはもうないだろう。最後にどこの国でも痛感したことは日本では信じれないほどの撮影許可の寛容さである。その恩恵は計り知れない。
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