さくら花幾春かけて老いゆかん・・・(2024年4月)

 敬愛する大野夫妻に誘われて富田の十四川堤での観桜が4月5日。翌6日には、名古屋は鶴舞公園の満開の濃密な桜を満喫した。すさまじい数のグループがさんざめき、人々は花見さえあれば幸せという感じ。私たちもほっこりした気持になる。そこから伏見へ回ってミリオン座で、『アイアンクロー』という映画を観賞。栄光のレスラー一家の息子たちの名声を求めての相次ぐ悲劇を描く、なかなか切ない佳作だ。そこから名古屋駅まで歩き、高島屋の「ビューレ・ノアゼット」でリーゾナブルなフレンチのコース(いつものように別々の料理でシェア)を楽しむ。とくに仔羊がおいしかった。結局、休み休みだったが、この日は1万歩以上歩いている。まだこうした外出ができるということを確認したかった。
 そして4月8日、桑名医療センターでの妻・滋子の心臓診察に付き添った。18日間の投薬の経過観察の後である。血液、尿、エコー、食事指導のあと循環器内科の診察を受ける。医師は、腎臓機能はOK、肝機能数値は少し改善したが、4年前より不整脈を伴う心臓弁膜症は悪くなっていて「中程度」とのこと。エコー検査結果には、「壁運動評価」はnormalだが、僧帽弁は「石灰化:後尖」、大動脈弁は「石灰化:三尖とも。開放制限(+)」診断は「中程度AS?疑い」、明かなasynergy(-)と書かれている。少し落ち込んだ。ただ急を要する症状ではなく、減塩の食事療法とともに、前と同じ利尿剤アゾセミド錠、スピノロラフトン錠を服用して、さらに50日の経過を見る。それでよくならなければ半年~1年のうちに、可能なら約2週間の入院を要するカテーテル施術も考える。それが担当医の結論だった。その他、特段の生活指導はない。
 妻の心臓弁膜症がどの程度深刻なのか、この医師の処置が適切なのか、本当のところわからないけれど、まだまだ大丈夫と信じたい。前の投稿に記したように、滋子を疲れさせないように心がけて、ゆるやかに生きてゆきたいと思う。それでいい。
 昨9日は、妻に指導・監督されながら昼食に炒飯を、夕食にハンバーグ、味噌汁、にんじんのグラッセなどをつくった。近隣の桜堤を散歩し、DVDで『ア・ヒュー・グッドメン』というアメリカの軍事法廷ものを観た。まぁ、ふたりの生活のありようは、専門研究の仕事がなくなった早春以来の常態とあまり変わらないだろう。
 馬場あき子の名唱「さくら花幾春かけて老いゆかん・・・」の後段は「・・・身に水流の音ひびくなり」と続く。80代後半はまさに「余生」である。それでもなお「身に水流の音」は聴きつづけたい。